|
1940年から1950年にかけ欧米で実施されていた水処理方法は分解点塩素処理法でした。この頃、結合塩素と遊離塩素を識別して分析できる信頼性の高い水質管理試験方法の必要性が次第に増してきていました。(遊離塩素は通常のpH下では次亜塩素酸と次亜塩素酸イオンの混合から成り、クロラミン類やその類似の塩素誘導体から成る結合塩素分を含む飲料水で最も活性が高い残留塩素分であることが認められるようになりました。) |
|
新しい分析方法は先ず、1945年に遊離及び結合塩素の識別検定を行う確実な方法が発表されました。ここに用いられた指示薬がジメチル・p−フェニレンジアミンで、現在DPDと言われるジエチル誘導体は当時未だ市販されてなかったときのことでした。 1949年中性オルトトリジン法(OT法)が発表され、後に米国標準法(第12版、1965年)に採用されましたが、試験中にpHが変化するとサンプル液中の塩素の平衡条件が変化し、誤差を生じる欠点がありました。 |
|
米国水道協会顧問のA.T.パリン博士は、この欠点を解消させるため、当時入手可能になった先のフェニレンジアミン試薬、特にジエチル誘導体の作用に注目しながら試験を再開しました。こお研究成果は1957年にAmerican
Water Works
Journalに報告され、同法で採用した試薬は現在のDPDとして知られるジエチル-p-フェニレンジアミンでした。 |
|
DPD法はサンプル水のpHを必ずしも中性に保つ必要なく全ての形の残留塩素分離検出を可能にした唯一の方法となり、英国のWater
Research
Centerは1963年から1966年にかけて実用化された全ての方法の中でDPD法が最も精度が高いと結論付けました。 |
|
一方、米国環境庁(EPA)は独自にDPD法の評価を行い、米国標準法(第13版、1971年)として取り入れ、今日でも標準法として承認されています。また、1974年米国飲料水安全法に基づくEPA連邦一次飲料水規制による飲料水供給システムで、残留塩素濃度の検定方法として唯一認可されたのがDPD法でした。 |
|
日本でDPD法が追加認可されたのは、先にも記した1978年7月のことで、当時OT法が発ガン性の疑いが有ると言われていましたが、「少し手に付いただけなら大丈夫…」と、あまり問題視されない時代でありました。 |